2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07J04769
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
松木 大造 Kanazawa University, 医学系研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 視床下部 / GABA / レプチン / 電気生理学 / 覚醒・睡眠 / 摂食・代謝 / 遺伝子改変マウス / オレキシン |
Research Abstract |
視床下部・外側野から産生される神経ペプチド・オレキシンは食欲や睡眠、報酬系の制御に重要であることが知られている。オレキシン産生神経の活性制御機構はこれら様々な生理作用を知る上で重要であると考えられる。体内のエネルギー状態に応じて血中濃度が変化するグルコースやレプチン、インスリンによるオレキシン神経の活性制御機構は、摂食と睡眠を結ぶ重要な機構であることが示唆される。そこで、オレキシン産生神経へのレプチン入力に関して検討を試みた。in vitroにおいては、レプチン投与によりオレキシン産生神経の顕著な抑制作用を認め、薬理学的解析から、PI3キナーゼを経由したATP依存性K+チャネルの活性化によりオレキシン産生神経を抑制性に制御することを明らかにした。一方in vivoにおいて、オレキシン産生神経特異的レプチン受容体遺伝子欠損マウスでは、普通食、高脂肪食下での体重成長や摂食量、また絶食後の摂食・活動量や代謝調節機構にはコントロールマウスとの差違を見いだせなかった。このことからオレキシン産生神経におけるレプチンシグナルは、直接には摂食行動に関与していないことを明らかにした。 また、レプチンの視床下部内での作用に関連した解析として、細胞内のaPKCと相互作用するタンパク質"Sequestosome1"の遺伝子欠損マウスの解析を行った。このマウスは離乳後から顕著な肥満を示す。その原因として、この遺伝子欠損マウスでは視床下部POMC神経におけるSTAT3分子の核移行阻害によるレプチン抵抗性が起こっていることを明らかにした。これらの結果は、現在の摂食・エネルギー代謝制御研究における重要な課題の一つ、ヒトの大半の肥満において問題となっているレプチン抵抗性のメカニズムを知る上で重要な知見を提供した。
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Research Products
(2 results)