2007 Fiscal Year Annual Research Report
ダイヤモンドトランジスタの実用化に向けた熱的安定性とデバイス特性の改善
Project/Area Number |
07J04779
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
平間 一行 Waseda University, 理工学術院, 特別研究員(DC2)
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Keywords | ダイヤモンド / MOSFET / 水素終端 / ホール蓄積層 / チャネル移動度 / 面方位依存性 / カットオフ周波数 / Pチャネル |
Research Abstract |
本年度ではデバイス特性の改善に向けて、基板の面方位が水素終端ダイヤモンドホール蓄積層の伝導性に及ぼす影響について調査した。 そこでまずIb-type単結晶(001),(110)基板上に同一条件でホモエピタキシャル薄膜を成膜し、大気中・室温においてホール効果測定を行った。 ホモエピタキシャル薄膜のRaは(110)基板では基板温度400℃の条件で最も低く2nm程度であるのに対し、(001)基板では基板温度550℃付近で最も平坦な膜(Ra0.2nm)が得られた。一方シート抵抗は、両方の基板において基板温度550℃付近で最も低いシート抵抗が得られた。(001),(110)基板で移動度がほぼ同等であるのに対して、シートキャリア密度には大きな違いが見られた。(001)基板ではシートキャリア密度が1.5×10^<13>cm^<-2>付近に多く分布しているのに対して、(110)基板では2.5×10^13cm^<-2>付近に多く分布しており、(110)基板上では(001)基板と比較して約1.4倍高いシート抵抗が得られている。その結果(001),(110)基板のシート抵抗はそれぞれ約10kohm/sq.,5kohm/sq.となり、ホール蓄積層の伝導性に顕著な面方位依存性が見られた。 本研究で明らかとなったホール蓄積層シートキャリア密度の面方位依存性は、未だに明らかとなっていないホール蓄積層の形成モデルを構築するために非常に重要な知見であり、ダイヤモンドのFET応用にとってもFET特性を大きく改善しうる大変重要な結果である。これらの結果を発表した電子デバイスで最も権威の高い学会の一つであるIEEE IEDMでは、Siや化合物などダイヤモンド以外の研究者からも大きな注目を集め、ダイヤモンドデバイスの可能性を世界にアピールした意義は非常に大きいと考えられる。
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Research Products
(12 results)