2007 Fiscal Year Annual Research Report
コメの貯蔵性の改良のためのリポキシゲナーゼ欠失性遺伝子の同定とその利用
Project/Area Number |
07J04786
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Research Institution | National Agricultural Research Organization |
Principal Investigator |
白澤 健太 National Agricultural Research Organization, 作物研究所米品質研究チーム, 特別研究員(PD)
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Keywords | 植物育種学 / イネ / 古米臭 / リポキシゲナーゼ遺伝子 / 一塩基多型 / ナンセンス変異 / CAPS分析法 / ドットブロットSNP分析法 |
Research Abstract |
米は貯蔵にともない劣化、古米化する。米の品質劣化の一面である古米臭の発生は、玄米の胚芽・糊粉層に含まれる脂質過酸化酵素リポキシゲナーゼ(LOX)等の働きによる脂質の酸化・分解に起因する。LOXのうちLOX3は玄米の全LOX活性の80-90%を占める主要なアイソザイムである。タイの在来品種「Daw Dam」はLOX3を欠き、優れた米の貯蔵性を示すが、その欠失性の原因遺伝子は同定されていない。従って、「Daw Dam」のLOX3欠失性の原因遺伝子の同定とその選抜方法の確立は、貯蔵性に優れたイネ品種の育種の効率化のために必要であると考えられる。 本年度は、LOX3欠失異性遺伝子の同定を目的として、以下の実験を行った。まず、「Daw Dam」と「日本晴」の交雑後代を用い、ウェスタンブロット分析によるLOX3の有無の検出とDNAマーカー分析による連鎖解析を行い、LOX3欠失性遺伝子の座乗する染色体領域を約1.5Mbの範囲に特定した。この領域には3つのLOX様遺伝子が座乗していたため、「日本晴」から精製したLOX3タンパク質の一部のアミノ酸配列を決定し、LOX3遺伝子の候補を一つの遺伝子に限定した。次に、このLOX3候補遺伝子の塩基配列を決定した結果、「Daw Dam」に終止コドンを生じさせる一塩基多型を見出した。したがって、「Daw Dam」のLOX3欠失性はこの遺伝子のナンセンス変異に由来すると結論付けた。また、この一塩基多型はCAPS分析法、およびドットブロットSNP分析法により検出できた。これらの成果により、LOX3欠失系統のDNA分析による簡易な選抜が可能となった。
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Research Products
(7 results)