2007 Fiscal Year Annual Research Report
先端的XAFS法によるヒ素の状態分析から紐解く大規模地下水ヒ素汚染の発生機構
Project/Area Number |
07J04808
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
板井 啓明 Hiroshima University, 大学院・理学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | ヒ素 / Bangladesh / 地下水 / 汚染 / XAFS / 堆積物 / 状態分析 / 微量分析 |
Research Abstract |
本年度は、バングラデシュの沖積堆積物からのヒ素の自然溶出プロセス解明を課題とし、以下の実験を実施した。 1.高感度XAFS法の実験法確立(SPring-8, BL37XU) 2.微小領域XAFSによるヒ素のEXAFS測定(KEK, BL-4A) 3.電子収量XAFS法による鉄の二次鉱物の選択的分析法の開発および堆積物への応用 4.堆積物-地下水間のヒ素の見かけの分配係数の決定 5.還元的環境下におけるヒ素の自然溶出の再現実験 6.安定同位体比を用いた地下水の水文学的特徴の解析および地質構造の解析各々の項目に対する成果を以下に記す。 1.当実験を通して、従来法よりも高感度でのXAFS分析が可能であることが確かめられたが、高輝度光によるヒ素の状態変化(酸化)という問題が発生し、現段階ではこの問題を克服できていない。 2.マイクロビームを用いてヒ素濃集領域を分析対象とすることで、感度を高めて測定することが狙いであったが、局所的に高濃度でヒ素を濃集させている鉱物を見つけることができなかった。 3.ヒ素の固定相として重要と考えられる鉄のキャラクタリゼーション法として確立を試みたところ、当手法の有効性が証明できたため、成果を国際紙に投稿した。(Appl. Geochem. Minor revision)また、堆積物への応用結果を国際学会で発表した。(12th Water Rock Interaction) 4.当実験を通して、地下水中のヒ素濃度が堆積物-水間での吸着平衡で説明できることがわかった。成果は近日中に国際紙に投稿予定である。 5.意図した実験結果が得られたため、4の成果と併せて近日投稿予定である。 6.上記研究を解釈する上での基礎データとして重要な知見が得られた。結果は国際紙に投稿した。(Appl. Geochem. Moderate revision, Mitamura, et. al. Jour. Geol. In press) 上記をふまえ、来年度は特にヒ素の一次的供給源の解明を目指し研究を進める予定である。
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Research Products
(9 results)