2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07J04831
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
岡松 優子 Hokkaido University, 大学院・獣医学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 発熱 / エネルギー消費 / 脱共役蛋白質 / 欠損マウス |
Research Abstract |
褐色脂肪は脂肪を燃焼して熱を産生する特殊な脂肪組織であり、その熱産生能を担うのが脱共役蛋白質UCP1である。UCP1による熱産生が、寒冷環境下での体温維持に必須であることが知られているが、感染や炎症時に起こる発熱に寄与するのかは不明である。また、肥満などのエネルギー代謝異常が社会的関心を集めているが、エネルギー消費の自律的調節におけるUCP1の役割については不明な点が多い。そこで二つの生理的因子、IL-1βとレプチンに注目し、それらの作用における褐色脂肪-UCP1の役割について検討した。 1.感染や炎症時の発熱におけるUCP1の役割 野生型およびUCP1欠損マウスに、感染や炎症時の主要な発熱メディエーターであるIL-1βを投与すると、いずれのマウスにおいても体温が上昇したが、熱産生の指標である酸素消費量は変化しなかった。一方、IL-1βを投与すると、いずれのマウスにおいても自発運動量が有意に減少した。運動量の変化が酸素消費量に強く影響していると考え、その影響を補正したところ、いずれのマウスでもIL-1β投与により同程度に熱産生が起こっていることが判明した。以上の結果から、感染や炎症時の発熱にはUCP1による熱産生の寄与が低いことを明らかになった。 2.エネルギーバランスの自立的調節におけるUCP1の役割 レプチンは白色脂肪から分泌され、中枢に作用して摂食を抑制して体脂肪を減少させることが知られていたが、同時にエネルギー消費を亢進させることが示唆されていた。そこで、レプチンの体脂肪減少作用に褐色脂肪-UCP1がどれだけ寄与するかを明らかにするために、野生型およびUCP1欠損マウスにレプチン発現アデノウイルスを投与して高レプチン血症を誘導した。高レプチン血症の誘導により、野生型マウスではエネルギー消費量が増加し、体脂肪が減少したが、UCP1欠損マウスではこのような変化は認められなかった。以上の結果から、レプチンは褐色脂肪-UCP1を活性化して、体脂肪を減少させることが明らかになった。
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