2007 Fiscal Year Annual Research Report
量子光学的手法で探る量子縮退した異種原子気体間相互作用
Project/Area Number |
07J04839
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
赤松 大輔 The University of Tokyo, 大学院・工学系研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 冷却原子 / 光会合分光 |
Research Abstract |
本研究の目的は冷却原子間の衝突相互作用について量子光学的手法を用いて研究する道を開拓することである。当初、本研究では2種のFermi原子(^6Liと^<40>K)を用いることを予定していた。これは、Bose粒子を用いた場合に生じる3体衝突によるロスを回避するためである。しかし、研究を遂行する過程で、このような衝突ロスは3次元光格子中に原子集団を導入することでも回避できることが分かった。そこで、実験をよりスピーディーに行うために、所属研究機関である井上研究室で技術の確立している^<41>Kと^<87>Rb(共にBose粒子)を用いることにした。 まず、それぞれの原子種をレーザー冷却するために必要な光学系を作成した。市販の半導体レーザーを用いた外部共振器型半導体レーザーを自作し、さらにその光をTapered amplifierにより増幅し、レーザー冷却用の光源として用いた。このシステムによりそれぞれ1×10^8個(^<41>K),5×10^8個(^<87>Rb)の原子を捕獲することに成功した。さらに、磁気光学トラップ用の磁場勾配や光の離調、強度を時間的に変化させることで原子集団の密度をそれぞれ1×10^<11>cm^<-3>(41K),5×10^<11>cm^<-3>(^<87>Rb)まで高め、温度を100μK(^<41>K),50μK(^<87>Rb)まで冷却することに成功した。41Kに関して磁気光学トラップ中でここまで冷却した例はこれまでなかったが、所属機関である井上研究室が昨年度開発したノウハウを利用することで研究をスムーズに遂行することが出来た。このような、高密度、低温の原子集団を一箇所に捕獲すると、光会合により浅い束縛状態の異核二原子分子を生成することが出来る。そこで、光会合用のレーザーを照射することで分子を生成し、高感度の検出であるMulti Channel Plateとパルスレーザーを用いたイオン化検出により生成された分子を検出することに成功した。 本研究の主題である衝突相互作用の研究のベースとなるのは詳細な原子間ポテンシャルの様子である。光会合とイオン化検出を用いた分光により原子間ポテンシャルの様子を浮き彫りにすることが出来るが、本年度の研究では、その予備的な実験データを集めることまで成功した。
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