2008 Fiscal Year Annual Research Report
高弾性変形能を有する低磁場対応型低ヤング率合金に関する研究
Project/Area Number |
07J04885
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
安藤 佳祐 Tohoku University, 大学院・工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 低ヤング率 / 磁場駆動 / マルテンサイト変態 / Fe基合金 |
Research Abstract |
本研究では、次世代型磁場駆動素子材料の開発を最終目的として、強磁性でかつ低ヤング率の磁性材料に関する基礎研究を行っている。高透磁率を有する材料として知られているB2型Fe-Co合金は、延性に乏しい上に、ヤング率も高い。通常ヤング率は材料固有の物性値であり、加工や熱処理により制御することは困難であり、例外的にbcc/fcc/hcp相境界付近に位置するTi合金で低ヤング率化がなされているのみである。そこで、本研究では高い磁気特性および低ヤング率、高弾性変形を得るため、Fe-Co-X多元系合金で全く新しい合金設計を行い、特性改善を試みた。 まず初めに、Fe-Co-Cr合金の状態図をCHALPHADにより計算し、種々のFe濃度に対応する縦断面図を得た。さらにこの状態図をベースとし、第四元素としてhcp相を安定化することが予測されるMnを添加したところ、このFe-Co-Cr-Mn合金がbccとhcpの二相から構成されていることをX線回折の結果より見出した。さらにTEM観察による微細組織の観察とマイクロディフラクションにより、このhcp相が熱的に生じたεマルテンサイトであることを確認した。これまでのところ、Fe基合金においてbcc⇒hcpのマルテンサイト変態に関する報告は無く、今回作製したFe-Co-Cr-Mn合金においてこのタイプのマルテンサイト変態が初めて観察出来たことは特筆すべき点である。 加えて、低温での適切な時効処理を施すことにより母相強度の向上に結びつくベイナイト変態も生じることが確認できており、今後の形状記憶特性及び各種特性を測定する際に、特性改善のアプローチとして利用できないか画策中である。
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Research Products
(3 results)