2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07J04886
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
戸松 創 The University of Tokyo, 大学院・農学生命科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | モリブデン / トランスポータ / シロイヌナズナ / 細胞内局在 |
Research Abstract |
私はモデル植物であるシロイヌナズナの二系統(Col-0とLer)についてそれぞれの体内モリブデン濃度と遺伝子型とを比較することにより、モリブデンの輸送体をコードする遺伝子(Molybdate ransporter 1、MOT1)を同定していた。本年度はMOT1の発現組織と細胞内局在についてより詳細な解析を行った。また、モリブデン酸イオンと化学的性質が似た硫酸イオンが共存することによりMOT1によるモリブデンの輸送が影響を受けるか否かを検討した。その結果、MOT1によるモリブデン輸送は硫酸イオンの共存による阻害を受けないことが判明し、MOT1はモリブデン酸イオン特異的なトランスポーターであることが示唆された。これらの結果をまとめた論文を本年度PNAS誌に発表した。 植物にはMOT1によく似た別の遺伝子が存在する。この遺伝子に変異をもつシロイヌナズナを入手してその性質を調べたところ、野生型株と比較して地上部のモリブデン濃度が低下しているにもかかわらず、根のモリブデン濃度が上昇していることを見出した。上述したMOT1は土壌から根へのモリブデン酸イオンの取り込みに関与するトランスポーターであり、MOT1に変異をもつ植物では根と地上部それぞれのモリブデン濃度が野生型株と比較して低下する。したがって、この類似遺伝子はMOT1とは異なる役割をもってモリブデン輸送に関与していると考えられる。表現型と予測アミノ酸配列の類似度からこの遺伝子は根から地上部へのモリブデン酸の輸送に関与するトランスポーターをコードすると推定し、7140T2と命名して解析を行った。MOT2は根と地上部で発現しており、葉脈に強く発現することが示唆された。細胞内では原形質膜に局在することが示唆された。MOT2はモリブデン酸の輸送に関する性質がMOT1とは異なることを明らかにしつつあり、現在詳細な解析を行っている。
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Research Products
(3 results)