2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07J04891
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
國枝 正 Kyoto University, 大学院・理学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 種子形成 / 珠皮形成 / シロイヌナズナ / 細胞死 / 胚発生 / 組織間相互作用 / 転写因子 / NAC |
Research Abstract |
種子は硬い種皮により,胚を守る.種皮形成の詳細な分子機構を理解することは,長い年月後も発芽能力を有する種子の優れた防御機構を知る上で欠かせない.珠皮と胚は,組織間相互作用を通して協調して発達すると考えられているが,その分子機構はよく分かっていない. 胚と珠皮の組織間相互作用を明らかにするため,本年度は胚発生異常変異体に焦点を当てて解析した.胚発生に異常を示す変異体を,種子形態の異常を指標にしてスクリーニングした.選抜した種子形態異常変異体で,珠皮の分子マーカーであるδVPEタンパク質の変動を観察したところ,野生型に比べてδVPEの出現時期が遅れ,かつ,その蓄積量が減っている変異体が得られた.この変異体の表現型は,植物特異的なNAC転写因子に属する2遺伝子(NARS1およNARS2)が同時に欠損したことで引き起こされていることが判明した.興味深いことに,NARS1とNARS2の欠損による胚発生異常は,珠皮の形態形成異常により間接的に引き起こされていた.この結果は,種子形成初期では珠皮に特異的に発現しており,胚では発現していないというNARS1とNARS2の発現部位と一致する.また,nars1 nars2変異体では鞘特異的なセネセンスの遅延が観察された.このことから,NARS1とNARS2は細胞死に関与する可能性がある. 本年度の結果から,珠皮因子であるNARS1およびNARS2が珠皮発達の制御を介して胚発生に関与するという種子形成の新規分子機構の存在が明らかとなった.
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Research Products
(1 results)