2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07J04894
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
弓削 是貴 Kyoto University, 工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 合金 / 表面 / 状態図 / 第一原理計算 / 構造 / 相安定性 / 偏析 / クラスター展開 |
Research Abstract |
平成19年度年次計画にある「原子半径が大きく異なる合金表面の構造と相安定性の予測」についてPt_<25>Cu_<75>(111)表面をモデル系として採用し,その偏析挙動や基底状態の表面の原子配置とその電子構造などを第一原理計算と統計熱力学的な手法を組み合わせ,評価を行った.その結果Ptが最表面と第三層に,Cuが第二層に優先的に偏析するという重要な知見を得た.また,最表面において原子配置の短範囲の規則化を確認し,これが最表面におけるp(2x2)規則化の傾向が最表面へのPt原子の偏析および表面第二層以降との相互作用により弱められた結果として解釈できることを示した.さらに表面の混合のエンタルピーの計算から,Pt_<25>Cu_<75>合金は5種類の基底状態の表面原子配置を有することを確認した.これらの表面原子配置に対する電子状態の計算から,合金の表面近傍における原子配置の規則化がフェルミ準位近傍の電子状態に大きく寄与していることを確認した.これらめ結果は単に合金表面の構造と相安定性を予測するだけでなく,合理的な表面材料を設計する上での重要な指針となり得ることから,本研究は単なる基礎研究にとどまらず,実用研究に対しても多大な貢献をするものである.さらに平成20年度年次計画にある「吸着分子を含む多元系への拡張」の第一歩として,多元系に適用可能なプログラムを作成した.モデル系として立方晶窒化ホウ素(c-BN)とダイヤモンドの3元系セラミックス合金を採用し,平衡状態図を作成した.その結果,安定な中間相は存在せず,c-BNとダイヤモンドに2層分離することを確認した.さらに本手法の多元系への適用の妥当性を確認した.これは吸着分子を考慮した複雑な多元系の相安定性の予測に重要な指針を与えるものである.
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Research Products
(7 results)