2009 Fiscal Year Annual Research Report
両方向性転換魚オキナワベニハゼをモデルとした魚類の性の可塑性についての研究
Project/Area Number |
07J04896
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
小林 靖尚 University of the Ryukyus, 熱帯生物圏研究センター, 特別研究員(PD)
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Keywords | 性転換 / 生殖腺刺激ホルモン / ハタ科魚類 |
Research Abstract |
これまで両方向性転換魚オキナワベニハゼを用いた研究から魚類の性転換には、脳-脳下垂体-生殖腺の情報伝達系が重要な働き巻果たすことを明らかにしてきた。今年度は、雌かう雄へ性転換するハタ科魚類の一種であるカンモンハタを用いて脳下垂体で産出される2種類の生殖腺刺激ホルモン(GTH;FSH,LH)の性転換に果たす役割を調べた。 最初に、GTHを構成する各サブユニット(GPα,FSHβ,LHβ)をクローニングした。つぎに異なる性のステージの下垂体における各サブユニットのmRNA発現量を調べた。その結果、GPαとLHβの遺伝子発現量に性差は見られなかった。しかしFSHβは雌では低発現であったにもかかわらず、雄で非常に高く発現していた。特にFSHβは性転換初期の個体で非常に高く発現していた。これら遺伝子発現の結果はGTH特異抗体を用いた脳下垂体の免疫染色によっても確かめられた。 加えて性転換におけるFSHの具体的な役割を調べるため、ウシのFSH精製品を雌にin vivo投与し生殖腺の変化を観察した。その結果FSH投与群の個体の生殖腺内では卵巣組織の崩壊と精巣組織の増殖が観察され性転換が誘導されていた。以上の結果からカンモンハタの生殖腺の性転換には、脳下垂体から放出されるFSHが引き金的役割を果たすことを明らかにした。ハタ科魚類は水産重要種の一つであり、近年、日本各地でハタ科魚類の種苗生産が試みられている。現在、得られたハタの性転換に関する知見および性のコントロール技術を、実際の養殖現場にて応用しようとしているところである。
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Research Products
(4 results)