2007 Fiscal Year Annual Research Report
真正粘菌変形体による最短経路問題及び最適ネットワーク問題の新解法
Project/Area Number |
07J04927
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
手老 篤史 Hokkaido University, 電子科学研究所, 特別研究員(PD)
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Keywords | モデル化 / 生物ネットワーク / アルゴリズム / 高信頼性ネットワーク / シミュレーション |
Research Abstract |
これまでのネットワークの設計方法は静的な最適化であり決められた条件の下で真に最適なもの(例えば最短な接続経路)を追求してきたが、粘菌は一つの基準(たとえば最短性)だけを最適化するのではなく、他のいろいろな基準(たとえば拡張性や上記の断線補償性など)を考慮しそれらを全て満たすような解を得ている。これらの基準のどれを重視するかも、生物体の内的状況(たとえば栄養状態)に依存してフレキシブルに変わる。このように粘菌ネットワークは、人類の誰もできない巧みなネットワークの設計制御を行っている。この方法を粘菌ネットワーク形成の数理モデル化を通じて学びとる事が目標であった。特に、変形体は2カ所の餌に接触すると最短経路上を管のような構造をしたもので繋がりながら餌のまわりに集まるという実験結果があり、この実験を再現する事による2点間の最短経路を求める手法(Physarumソルバー)の拡張が研究目標の一つであった。 本研究は半年間と短い研究期間ながら、粘菌の場所ごとの非一様性を入れた実験結果を再現する事に成功した。(本研究期間中にPhys. Rev. Lett.にて発表)この研究結果によりPhysarumソルバーを重み付の最短経路問題へと拡張する事に成功し、粘菌の管ネットワークの形成をより忠実に再現する事に成功した。 これらの結果を3度の国際学会で発表し、高い評価を得た事から本研究の成果は大変に大きいと判断する事ができる。
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Research Products
(4 results)