2007 Fiscal Year Annual Research Report
カイコ突然変異体コブ(K)の原因遺伝子と真皮細胞分裂機構の解明
Project/Area Number |
07J04941
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
山口 淳一 The University of Tokyo, 大学院・新領域創成科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | カイコ / 異常増殖 / 真皮細胞 / 突然変異体 / 原因遺伝子 / 腫瘍 |
Research Abstract |
1.ポジショナルクローニングによる原因遺伝子の同定:真皮細胞の一部に異常増殖を起こすカイコ幼虫突然変異体コブ(K)の原因遺伝子を同定するために、1000以上の幼虫個体を用いた連鎖解析を行った。その結果、ゲノム上の責任領域を第11染色体上の440kbpの領域内に限定することに成功した。この領域は22個の遺伝子がコードされ、染色体の複製に必要な遺伝子(ショウジョウバエdoubleparkedのオーソログ)や、細胞の飽和密度を上昇させることが知られている遺伝子(p130Casのオーソログ)など異常増殖に関連のある遺伝子がいくつか含まれる領域だった。変異系統のゲノム配列を調べた結果、全候補遺伝子のどれについても既知の機能ドメインへの突然変異は認められないことから、発現異常や機能未知のドメインへの突然変異が真皮細胞の異常増殖の原因となっている可能性が強く示唆された。 2.発現解析解析:マイクロアレイを用いた網羅的なスクリーニングの結果、変異体の異常増殖部で発現量が変化している遺伝子101種類が同定された。その10%程度が腫瘍マーカーとして知られているものであった一方で、大部分は連鎖解析で絞り込んだ遺伝子との関係性が明らかにされていない遺伝子であった。さらに個々の遺伝子の発現パターンは異常増殖部位全体で抑制されているものや周辺部位でのみ高発現しているものなどそれぞれ特徴的であることが明らかになり、今後決定する原因遺伝子の情報と合わせることで、細胞の異常増殖における新たな遺伝子カスケードの発見につながる可能性が示唆された。
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Research Products
(2 results)