2008 Fiscal Year Annual Research Report
減数分裂特異的mRNAの栄養増殖期における選択的除去の分子メカニズム
Project/Area Number |
07J04946
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
山中 総一郎 The University of Tokyo, 大学院・理学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | RNA / 分解 / 分裂酵母 / 減数分裂 / exosome / poly(A) |
Research Abstract |
分裂酵母の減数分裂期にのみ発現する特定mRNA群の栄養増殖期での発現抑制機構について解析を進めた。RNA結合タンパク質であるMmi1はこの発現抑制機構に重要な働きを担っており、mmi1を欠失させた株では生育にかなりの遅延が見られる。前年度までに、Mmi1依存的なmRNA排除機構に、RNAの3'末端に付加されるポリA鎖の他に、ポリA結合タンパク質の一つであるPab2が関与していることが明らかとなっていた。mRNA排除におけるポリA鎖の役割を明らかにするため、Pab2に関する解析を行った。Pab2はMmi1とは相互作用を示すことが見られていたため、Pab2のN末端を削ったシリーズを作製することで、Pab2中のMmi1と相互作用する領域を特定することを試みた。するとN末の80残基を欠いたPab2ではMmi1との相互作用が失われることが明らかとなった。Pab2を過剰に発現させることは細胞にとって致死的であるが、この致死性はN末の80残基を欠くと失われた。N末を80残基削ったPab2は、Rmt1という既にPab2と相互作用することが知られている因子と結合が見られることから、Pab2の構造は部分的に保持されていると考えられる。細胞に致死性を与える理由の一つの可能性として、大過剰に発現させたPab2がMmi1との相互作用を通して減数分裂期特異的mRNAの排除機構を阻害していることが考えられる。実際、Pab2を過剰発現させた細胞内ではMmi1の基質であるmei4の発現が観察された。しかし、mei4以外のMmi1の基質の発現は見られず、かわりにread-through産物が多数観察された。これらの実験結果から、Pab2の過剰発現はMmi1による特定mRNA排除機構を阻害する以外に、転写終結といった細胞にとってより基礎的な遺伝子発現過程に異常をもたらすことが考えられる。
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Research Products
(1 results)