2008 Fiscal Year Annual Research Report
植物集団の分布変遷における種子散布形質・自家和合性の適応的意義
Project/Area Number |
07J04992
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
竹内 やよい Kyoto University, 農学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | フタバガキ科 / ボルネオ島 / 系統地理 / コアレセント解析 / Tajima's D / ハプロタイプネットワーク / 種子散布 / 進化ゲノム学 |
Research Abstract |
対象としている種は、種子散布形質の異なるShorea属2種Shorea laxa(種子に翼無し)、S.faguetiana(翼あり)である。昨年度にPCR増幅と多型を確認した核遺伝子座7座の塩基配列を、各種20個体程度決定した。2倍体で他殖が優占するこれらの植物は、ヘテロ接合であることが多く、ダイレクトシークエンスではハプロタイプが分離できない。そこで、SNPのある箇所に特異的なシークエンスプライマーを設計して、ハプロタイプを分離する方法を開発・最適化して、これらのハプロタイプの決定に成功した。 決定された塩基多型情報をもとに、集団遺伝学的な解析をおこなった。塩基多様度は、遺伝子座間で異なったが他の木本種と同程度であった。ハプロタイプネットワークや中立性の検定(Tajima's D)などからは、他のShorea属でも報告されているような最近の集団の拡大が示唆された。また集団の拡大速度についてもそれぞれの種で推定を行った。その結果、遺伝子座間で多少の誤差はあるものの、どちらの種においても拡大傾向があること、また拡大のスピードはS.faguetianaがS.laxaよりも大きいという結果であった。これは、「種子散布の大きな種が小さな種よりも集団の拡大速度が大きい」という当初の仮説に矛盾しない結果であった。この結果の一部は、日本生態学会で発表し、他の研究者と意見交換ができて大変有意義であった。 また、2月にはマレーシア・サバ州でS.laxa,S.beccarianaのサンプリングを行った。今後、この集団を加えて、集団構造を考慮した解析を付け加える予定である。
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Research Products
(3 results)