2009 Fiscal Year Annual Research Report
植物集団の分布変遷における種子散布形質・自家和合性の適応的意義
Project/Area Number |
07J04992
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
竹内 やよい Kyoto University, 大学院・農学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | フタバガキ科 / 系統地理 / ハプロタイプネットワーク / コアレセント解析 / 種子散布 / ボルネオ島 / 核遺伝子座 / 中立性の検定 |
Research Abstract |
フタバガキ科Shorea属は種子散布形質が多様であり、属内でも種子に翼があり風散布に適応している種と、翼がなく重力散布に依存している種がある。これらの散布形質は過去の集団の履歴にどのような影響を与えていたかを検討するために、Shorea属のなかから種子散布形質の異なる近縁種2種Shorea laxa(羽根なし)、S.faguetiana(羽根あり)を選定した。マレーシア・ランビルの集団で各種15-20個体ずつ、核遺伝子座7座を用いて塩基配列を決定した。このデータからハプロタイプネットワークや中立性の検定(Tajima's D)などの集団遺伝学的な解析をおこなった。結果、ハプロタイプネットワークは星型、TajimaのDは負になり、最近の集団の拡大を示唆する結果であった。また、集団の拡大スピードをコアレセント解析によって推定した。結果、7座中5座では両種間で拡大速度に有意な差は見られず、1座でS.laxaよりS.faguetianaが有意に大きく、また1座では逆の結果であった。これらの結果からは「種子に翼のない種は翼のある種よりも集団の拡大スピードが遅い」という仮説を検証するにはいたらなかった。矛盾した結果を解消するために、7座すべてを考慮したモデルを考える必要があることが分かり、今後の課題である。また8月にブルネイでS.faguetianaとS.laxaのサンプリングを行った。これらのサンプルを用いて、今後さらに種としてのサイズの分布拡大について検討したい。
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Research Products
(2 results)