2007 Fiscal Year Annual Research Report
植物集団の分布変遷における種子散布形質・自家和合性の適応的意義
Project/Area Number |
07J04992
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
竹内 やよい Kyoto University, 農学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | フタバガキ科 / ボルネオ島 / 系統地理 / 花粉一粒 / 連鎖地図 / 花粉散布 / 種子散布 / 中立遺伝子座 |
Research Abstract |
今年度はまず、マレーシアサラワク州の研究者と研究計画をつめ、材料のサンプリングを行った。熱帯林では樹木密度が低いために、個体をみつけるのは大変で、サンプリング採取は大変困難を極めたが、サラワク州の1集団でShorea beccarianaを10個体以上,S.faguetianaを3個体以上採取することができた。これで、手持ちのサンプルはS.beccariana,S.faguetianaでサラワク州で2集団以上、S.laxaで一集団の解析集団となった。しかし、これではまだ不足であるので、今後はさらなる地点でのサンプリング、マレーシア・サバ州でのサンプリングも行いたい。 7月末から、チューリッヒ大学に滞在し、遺伝解析を行った。まず、花粉一粒を分離し、PCRを行う方法を確立した。また、一粒花粉がもつDNA量が大変少ないため、全ゲノム増幅を行うことも成功した。次に、モデル生物であるArabidopsisで既にわかっている中立遺伝子、機能遺伝子の計40遺伝子座を用いてPCR増幅を行った結果、20遺伝子座以上で増幅が確認された。そのうち10遺伝子座で多型を確認し、現在はCAPSマーカーを作成している。これらのマーカーのほか、既に他樹種で開発されているSSRマーカーを用いて解析を行う。このマーカーを用いて連鎖地図の作成、系統地理の解析を行う。 また、10月にチューリッヒの国際シンポジウムでフタバガキ科の種子・花粉散布の意義についての発表、3月は日本生態学会で種子・花粉散布の距離について新たな手法を用いた解析を行い、学会発表を行った。他の研究者に意見を交換することができ、大変有意義であった。
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Research Products
(2 results)