2008 Fiscal Year Annual Research Report
白血病細胞株の増殖・分化におけるマイクロRNAの構造と機能
Project/Area Number |
07J04998
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
小坂 展慶 Waseda University, 理工学術院, 特別研究員(PD)
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Keywords | マイクロRNA / エリスロポエチン / 赤血球分化 / 低酸素 / サイトカイン |
Research Abstract |
マイクロRNAは約22塩基の小分子非翻訳RNAであり、生体内における様々な生命現象の調整役としての機能を果たす事が明らかとなっている。マイクロRNAは特にがんとの関係に関して多くの報告がされており、がんの浸潤、転移、増悪に関わっているとされている。しかし、細胞の分化、増殖を制御する分泌蛋白質であるサイトカインとの関わりは報告が少ない。そこでサイトカイン依存的に増殖する急性巨核芽球性白血病細胞株であるUT-7/EPO、UT-7/TPO、UT-7/GMを用いてマイクロRNAのマイクロアレイを行い、複数のマイクロRNAがUT-7/EPOにおいて発現が高いことが明らかとし、サイトカインを用いた解析の結果、miR-188、miR-362はエリスロポエチンにより発現が誘導されることが明らかとした。また細胞株や個体レベルにおいてそれぞれ低酸素、貧血時にmiR-210の発現が上昇し、細胞株での検討から細胞死に関わることがわかった。低酸素下では赤血球系細胞株のみならずがん細胞においても発現が上昇することを確認した。そこでmiR-210の発現制御機構を解明するためにプロモーター領域をクローニングし、ルシフェラーゼアッセイを行った結果、通常酸素下では細胞周期に関連する転写因子であるE2Fが、低酸素下では低酸素応答因子であるHIF-1がmiR-210の転写に関係している事が明らかとなった。またmiR-210は固形がん細胞においてもアポトーシスに関連していることを明らかにした。以上のことからmiR-210は、サイトカインに依存的ではないが、生理条件下では酸素変化における細胞の生死を調節している。一方がん細胞は、低酸素下における細胞死を抑制するのにmiR-210を利用している可能性を提示した。
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Research Products
(2 results)