2007 Fiscal Year Annual Research Report
「アニミズム」概念の受容と変容-オランダの"思惑"とインドネシアの"現実"-
Project/Area Number |
07J05008
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Research Institution | Tohoku University |
Research Fellow |
相澤 里沙 Tohoku University, 大学院・文学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | オランダ / インドネシア / 宗教学 / 民族学 / 文化人類学 / 民族誌 |
Research Abstract |
本年度は、オランダの宗教学と民族学における「アニミズム」概念の成立過程および変容過程の調査を行った。具体的には、オランダのライデン大学図書館と、王立言語・地理・民族学研究所における資料収集の実施と、資料における「アニミズム」概念の精査および比較検討である。 資料収集は、蘭領インドネシアの行政官や宣教師によるインドネシアの民族誌を中心に行った。主に、行政官でありライデン大学民族学教授も務めたG・A・ウィルケンと、後のオランダ宗教現象学に関わりの深い宣教師A・C・クロイトの著作を収集・精読した。 また、それら民族学者と関係の深い宗教学者における「アニミズム」概念の研究も行った。同大学における宗教学と民族学は成立時期を同じくし、「アニミズム」概念を用いて研究を行ったという共通点がある。宗教学の初代教授C・P・ティーレと、ウィルケンとクロイトの「アニミズム概念」を精査・比較検討し、その結果「アニミズム」概念が本国と植民地との知的交流から成立したことと、使用者によって意味が異なることが明らかになった。その違いは、学説史的な立場と、使用者の植民地からの距離によると考察される。それは、ヨーロッパのアカデミズム世界と植民地社会の関係を考えるうえで意義あることであり、現代の「アニミズム」概念のはらむ問題を検討するに際しても非常に重要性を持つ。
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Research Products
(4 results)