2008 Fiscal Year Annual Research Report
「アニミズム」概念の受容と変容-オランダの"思惑"とインドネシアの"現実"-
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07J05008
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Research Institution | Tohoku University |
Research Fellow |
相澤 里沙 Tohoku University, 大学院・文学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | オランダ / インドネシア / 宣教 / 植民地主義 / ポストコロニアリズム / アニミズム / プレアニミズム |
Research Abstract |
今年度の研究は二つにまとめられる。一つはオランダの宗教学と民族学におけるアニミズム概念とプレアニミズム概念の形成過程についての研究を行った。オランダがインドネシアを研究する際に用いた概念が変化する過程を調査することによって、オランダのインドネシアに対する眼差しが明らかとなった。またその眼差しは研究者ごとに異なり、複雑性を持つ。それにはオランダ本国でのアカデミズムの影響もあるが、研究者の立場によることが大きい。これらのことにより、植民地には西洋対非西洋という二項対立では捉えきれない状況が存在することが明らかとなった。 もう一つはインドネシアにおける学知の形成とその意味の研究である。そのためにオランダ人と関わりを持っていたインドネシア人カルティニを取りあげ、その先行研究の分析を行った。それとともにポストコロニアル論の精読も行った。先行研究の精読によって、これまでの学知の形成についての研究においては、西洋側の営みにのみ注目され、その対象となった植民地現地の人々の関与や彼らに対する意義にはあまり注意が払われてこなかったことがわかった。 今年度の研究により、西洋も植民地も一枚岩的なものとして扱われがちであり、それらの複雑性は考慮に入れられていなかったことが明らかとなった。本研究ではそれらの問題を踏まえ、現地の人々の主体性や西洋および植民地の複雑性を考慮に入れることで、ポストコロニアル論の限界を乗り越える可能性を見出すことができる。
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Research Products
(3 results)