2008 Fiscal Year Annual Research Report
生物学的リン除去プロセス中の主要リン除去細菌の分離とプロセス最適化に関する検討
Project/Area Number |
07J05025
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
福島 寿和 The University of Tokyo, 大学院・新領域創成科学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 生物学的リン除去プロセス |
Research Abstract |
研究課題は、排水処理法のひとつである生物学的リン除去プロセス中の(1)主要リン除去細菌であるCandidatus'Accumulibacter phosphatis'(以下'Accumulibacter')の分離、および(2)プロセス最適化に関する検討である。今年度の成果は以下のとおりである。 課題(1)「分離」:実験室規模リアクターを運転し、'Accumulibacter'が95%以上を占めるグラニュール汚泥を得ることができた。未だ分離されていない'Accumulibacter'を高濃度に集積できたことで、分離できる可能性が飛躍的に高くなった。得られたグラニュールを前年度の検討で得られた条件で培養し、'Accumulibacter'の分離を試みたが、分離するまでには至らなかった。そこで、'Accumulibacter'の増殖に関する情報を得るため、さらには再現よく'Accumulibacter'が集積した汚泥を得るために、今回得られたグラニュールについてその特性を解析した。この結果、グラニュールの細胞外成分の組成、分布に特徴が見られた。得られた情報は分離のみでなく、実際の処理プロセスの運転に対しても重要な情報となる。 課題(2)「プロセス最適化」:前年度までの研究では、pHを低下させると'Accumulibacter'がリン除去悪化の一週間ほど前に減少しはじめることがわかった。'Accumulibacter'が減少し始めたが、リン除去が安定していた期間における、他のリン除去細菌の可能性について検討した。この結果、糸状性の細菌がこの期間に増加し、リンを蓄積していることを確認した。また、リン除去悪化のメカニズムを解明するため、リン除去細菌と有機物摂取を競合するグリコーゲン蓄積細菌の挙動を把握した。まず、グリコーゲン蓄積細菌を定量するための定量PCR法を確立し、PHを低下させたリアクターでの挙動を詳細に把握した。この結果、グリコーゲン蓄積細菌が一時的に増加したことをきっかけに'Accumulibacter'が減少する様子が見られた。このように、pHを低下させたことに対する、リン除去細菌および競合細菌の応答の一部が明らかになった。これらの知見が収集されることで、リン除去悪化のメカニズムが解明され、プロセス最適化の戦略が確立されることが期待される。
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Research Products
(3 results)