2007 Fiscal Year Annual Research Report
表面分子修飾による強磁性酸化物の伝導特性制御と有機半導体へのスピン注入
Project/Area Number |
07J05038
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
中野 匡規 Tohoku University, 大学院・理学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 酸化物半導体 / 導電性高分子 / ショットキー接合 / バンドアライメント / 界面分極層 / 電界効果トランジスタ / フォトディテクター / 量子ホール効果 |
Research Abstract |
本研究では、自己組織化単分子膜(SAMs)が有する高い被覆率及び大きな永久双極子モーメントに着目し、SAMsをキャリアドープ層兼スピン注入層として導入することによって強磁性半導体CoドープTiO2の伝導特性制御の実現、及び有機半導体への効率の良いスピン注入の実現を目指している。まずはSAMsが酸化物半導体の電子状態に与える影響について検討するため、酸化物半導体/有機金属からなるショットキー接合を作製し、その動作の実現を目指した。そして、有機金属として導電性高分子であるPEDOT:PSSを用いることにより、ZnOやSrTiO_3、TiO_2などを半導体層とする高品質なショットキー接合の実現に成功した。特に半導体層にZnOを用いたショットキー接合は、簡便な素子作製工程にも関わらず、非常に良好な特性を示した。そこでこのPEDOT:PSS/ZnOショットキー接合に関して詳細な検討を行い、ZnO及びそのヘテロ構造における電子状態の評価を行った。 まず、PEDOT:PSS/ZnOショットキー接合の電流-電圧特性及び容量-電圧特性の温度依存性を評価することにより、導電性高分子とZnOの接合界面におけるエネルギー準位の不連続量を定量的に評価することに成功した。その過程で、この有機物/酸化物界面には、構成要素のイオン性に由来する分極層が存在することを突き止めた。次に、同電極を用いて、ZnO系ヘテロ接合界面におけるキャリアの空間分布を低温(2K)で評価し、量子ホール効果の発現に寄与する二次元電子ガスを検出することに初めて成功した。また、同電極を用いたZnOの電界効果トランジスタ及びフォトディテクターを試作し、室温において、200cm^2/Vs程度の高い電界効果移動度及び100%近い光電変換効率を実現することに成功した。更に、ZnO系ヘテロ接合界面をチャネルとするトランジスタを作製し、二次元電子ガスの濃度を同電極で制御することにより、同界面における量子伝導を大きく変化させることに成功した。
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Research Products
(16 results)