2007 Fiscal Year Annual Research Report
胚発生に必須な細胞極性の確立に関わる細胞内輸送機構の解明
Project/Area Number |
07J05064
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Research Institution | National Institute for Basic Biology |
Principal Investigator |
鈴木 誠 National Institute for Basic Biology, 形態形成研究部門, 特別研発員(PD)
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Keywords | 原腸形成 / 神経管閉鎖 / 細胞内輸送 / 微小管 / ツメガエル |
Research Abstract |
脊椎動物の胚発生過程においては原腸形成を含む大規模な形態形成運動が生じるが、微小管を介した物質輸送や小胞輸送はそれらの過程に積極的に関与し、個々の細胞の振る舞いを調節していると予想される。本研究ではツメガエルの形態形成運動を調節する機能分子を同定するため、背側中胚葉由来のcDNAライブラリーから得られた候補遺伝子についてアミノ酸配列、ドメイン構造、さらには既知の機能を基に分類を行い、細胞内輸送にかかわると予想される分子を複数同定した。さらに検索対象を当研究室でデータベース化されている他のcDNAライブラリーにも拡大することにより、形態形成への関与が予想される微小管結合タンパクを複数同定した。特にその中でも、Opitz syndrome(OMIM300000)の原因遺伝子がツメガエル胚において発現していることを見出し、遺伝子産物が微小管と相互作用していることを明らかにした。また、この遺伝子の機能をモルフォリノアンチセンスオリゴによって阻害することで神経管閉鎖不全が引き起こされることを見出した。この遺伝子産物は微小管プラス端に集積するEB1やAPCと共局在し微小管のダイナミクスを介して形態形成運動を調節していると考えられることから、他の候補分子と併せて今後も解析を進めていく。また、原腸形成や神経管閉鎖の過程をin vivoで単一細胞レベルから解析するため、共焦点顕微鏡を用いたライブイメージング技術の改良を行った。後期原腸期から神経胚期のツメガエル胚をアガロースゲル中に固定したまま培養することを可能にし、複数の蛍光タンパクの変異体を初期胚に導入することで、細胞膜、染色体、微小管、中心体、ゴルジ体や小胞体の細胞内動態の時間・空間的変化を可視化することに成功した。これらの技術は本研究で同定された機能分子が発生過程にある細胞の細胞内動態に与える影響を評価するために有用であり、更なる技術の発展を目指す。
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Research Products
(2 results)