2007 Fiscal Year Annual Research Report
途上国における地域の持続的発展のための感染症リスク低減水利用システムの開発研究
Project/Area Number |
07J05067
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
三浦 尚之 Tohoku University, 大学院・工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 国際研究者交流 / 健康リスク評価 / 水系感染症 / GIS / メコン流域 / ラオス:カンボジア:ベトナム |
Research Abstract |
本年度は,研究対象地域のカンボジアにおいて現地調査を行い水利用と飲用水における微生物汚染状況を明らかにした。同時に,リスク評価モデルの開発に必要な統計データ(人口密度,衛生設備普及率,土地利用,河道の位置,下痢症患者数など)を収集した。これまでのラオスやベトナム,タイにおける現地調査結果と統計データを用いて,調査を実施しなかった地域に対しても水利用と飲用水の汚染状況をモデル化し,メコン流域における飲用水摂取による感染リスクを算出するリスク評価モデルを構築した。また,構築したモデルを用いて,流域規模でのリスク低減対策シナリオを検討した。 水道水を飲用している都市域では,下痢症の感染リスクは10^<-4>のオーダーであった。これに対し,満足な衛生設備を十分に利用できない人々が高い密度で居住する都市近郊の農村域においては,感染リスクが極めて高い(0.1〜1)ことが分かった。これらのリスクをもとに,メコン流域における年間の飲用水起因下痢症患者数を算出したところ,下痢症は流域全体で年間におよそ1,200万件発生していると予測された。 リスク低減対策シナリオとして検討した,(1)既存の水道設備における水質管理の徹底,(2)給水区域の拡張,(3)農村域での雨水飲用の促進の3つのシナリオでは,(3)が最も効率的に下痢症の患者数を減らすことができた。メコン流域の農村域において,下痢症のリスクが高い井戸水や河川水の代わりに雨水の飲用を啓蒙することにより,下痢症発生件数を現在の28%にまで減少させることができると見積もられた。
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Research Products
(3 results)