2008 Fiscal Year Annual Research Report
銀河系バルジ領域の赤外線反復観測による銀河系棒状構造の研究
Project/Area Number |
07J05097
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
松永 典之 Kyoto University, 大学院・理学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 赤外線天文学 / 銀河系 / 変光星 |
Research Abstract |
本研究計画では、南アフリカ共和国にあるIRSF望遠鏡を用いて3年間という長期間にわたって銀河系バルジの近赤外線観測を行う。主な目的はミラ型変光星という周期100日以上の変光天体を探して、それらの分布を調べて銀河系の空間構造を明らかにすることである。研究計画の第2年目となる今年度は、5月、8月の2回にわたって、合計8週間南アに滞在して観測を行った。例年よりも天候が悪かったが、目標としていた5回程度の反復観測データを取得し、去年度と合わせて順調に計画が進んでいる。来年度も観測を行えば、データ解析を行って、変光星の調査が可能になるはずである。予備的な解析の結果、取得したデータで実際にターゲットとするミラ型変光星の変光を検出できていることが確かめられている。また、データ解析を行うためのソフトウェアの開発も継続し、解析に必要なものはほぼ準備できた。 一方、2001年からの観測データがあり、去年度も本研究計画の一環として観測を行った銀河中心領域について解析を行った。その結果、1364個の変光星が見つかり、そのうち400個程度がミラ型変光星であることが確認できた。それらのカタログに基づいて、周期光度関係を用いた距離と赤化の決定方法を確立させることができた。その方法はバルジ領域の構造解明にもそのまま利川できる。今回の研究で距離を求めたミラ型変光星のほとんどは銀河中心の前後の狭い範囲(分布の幅は500パーセク以下)に強く集中しており、それらの距離は8.0キロパーセクであった。これらの成果については、3月の日本天文学会春季年会で発表し、論文雑誌に投稿するために執筆を進めている。
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Research Products
(5 results)