2007 Fiscal Year Annual Research Report
神経ペプチドPACAPによる精神行動制御の分子薬理学的機能解析
Project/Area Number |
07J05098
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
嶋田 健 Osaka University, 薬学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | PACAP / 遺伝子改変マウス / 精神疾患・障害 / 統合失調症 / 神経細胞文化 |
Research Abstract |
これまでに、研究代表者の所属する研究室で作製されたPACAP遺伝子の欠損マウス(PACAP-KO)を用いた検討から、PACAPが精神行動機能調節に関与していることが明らかとなっている。本研究は、研究代表者らが確立した、ES細胞からセロトニン神経細胞への分化誘導系や遺伝子改変技術などを用いて、発生期および成熟後でのPACAPの各神経系における役割の解明を目指すものである。平成19年度は以下の結果を得た。 1)上述のセロトニン神経細胞分化誘導系において、培地中にPACAPを添加すると、PACAPの容量依存的にセロトニン放出量が減少することを明らかにした。また、RT-PCR法によりドパミン合成酵素の発現量には変化がないのに対し、セロトニン合成酵素の発現が低下することを見出した。神経細胞マーカーであるMAP2の発現量には変化が見られなかったことから、PACAPはセロトニン神経細胞への分化を抑制し、他の神経細胞種への誘導を促す作用を持つ可能性が示唆された。 2)アンフェタミンの鎮静化作用に重要であると考えられる大脳皮質前頭前野の神経を光で活性化可能な遺伝子改変マウスの作製を目指し、相同的組み換えに用いるベクターを完成させた。また、発現させる分子により神経活動を制御可能であることを、遺伝子導入したPC12細胞を用いたパッチクランプ法により確認した。次に遺伝子改変マウスの作製を進める予定である。 3)特定神経の不活性化を制御する目的で開口分泌に関わる分子のドミナントネガティブ体を発現するベクターの作製を完了した。In vitroでの機能確認後、遺伝子改変マウスの作製へと進める予定である。
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Research Products
(2 results)