2007 Fiscal Year Annual Research Report
睡眠に関する行動学的生理学的研究-半球睡眠の適応的進化・発達
Project/Area Number |
07J05113
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
関口 雄祐 Tokyo Medical and Dental University, 生体材料工学研究所, 特別研究員(PD)
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Keywords | 睡眠科学 / 半球睡眠 / イルカ |
Research Abstract |
本研究では、"睡眠"を行動パターンの一つとして捉え、その適応戦略としての解釈および進化的考察を目的としている。具体的には、海生哺乳類・鳥類の一部の種がもつ"半球睡眠"に着目し、その成長段階ごとの半球睡眠の量的、質的変動の意味を理解する。今年度は以下の2点について実施した。 (1)イルカを用いた半球睡眠成長仮説の検証:ハンドウイルカ成獣を対象に遊泳休息時の目の開閉状態(水中及び水面)の記録と行動記録。鴨川シーワールド(千葉県鴨川市)においてハンドウイルカ成獣5頭を対象とした行動観察記録を行い(2007年4月〜9月)、遊泳休息の約9割が睡眠状態であること、この状況下の呼吸浮上では約3割で一時的な覚醒レベルの上昇が生じていることが明らかになった。また、2007年1月と6月に鴨川シーワールドにてハンドウイルカの出産が、2007年8月には名古屋港水族館にてベルーガ(シロイルカ)の出産があり、2年目以降に計画していた幼獣の行動観察記録を得ることができた。これら幼獣のデータは今後、解析を進める。 (2)鳥を用いた半球睡眠成長仮説の検証:ウズラを卵から飼育し、孵化直後から成長と睡眠行動を記録する。脳波計測を行いつつ、同時にヒナの顔面にフォーカスするカメラを飼育ゲージの全周に合計3〜4台設置しモニターを行うため、既存のウズラの飼育ケージでは不適当である。そのため、現在、専用品を製作中である。具体的には、アクリル円筒ケース(径300mm)を使用することによりビデオ撮影時の死角を無くし、これを二重(径450mm)にすることで排気効率を高めた作りをおこなっている。 本研究の結果の一部は、日本睡眠学会第32回定期学術集会にて報告し、日経新聞等で報道された。また、社会福祉法人宮原ハーモニー職員研修会で本研究の一部を含めて睡眠教育の重要性を"寝育(ねるいく)"として提案する講演を行った。
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Research Products
(2 results)