2007 Fiscal Year Annual Research Report
ボーリング調査を活用した水文水質観測及び物理試験による基岩層内の水文過程の解明
Project/Area Number |
07J05131
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
桂 真也 Kyoto University, 農学研究税, 特別研究員(DC2)
|
Keywords | 風化花崗岩 / 基岩層 / 水分特性 / 風化区分 / 調査ボーリング / 圧力水頭 / 土層内地下水 / 山地源流域 |
Research Abstract |
近年の研究により、山地源流域での水文過程における基岩層の重要性が指摘されているが、基岩層内での水移動プロセスについてはほとんど解明されていない。本年度は以下の3点について計測および解析を行った。 1.花崗岩流域である赤壁流域および西おたふく山流域において得られたボーリングコアサンプルを用いて、基岩層の水分特性を計測した。各サンプルの風化区分と水分特性との関係を解析したところ、風化基岩は水分特性の上からはC_M級とC_L〜D_L級の2つにグループ分けできることが示された。以上の結果は、基岩層内の水移動を解析する上で非常に基礎的かつ重要な情報を供するものである。 2.赤壁流域において、テンシオメータを密に埋設して圧力水頭を計測した。その結果、基岩層内の圧力水頭は非常に緩やかな反応を示すこと、豪雨時には基岩層内を斜面下部から尾根部へと向かう流れが発生することが明らかにされた。さらに、水分特性と圧力水頭とを組み合わせて基岩層内の流れを解析したところ、降雨時には土層内に、無降雨時には基岩層内により大きな流れが発生することが分かった。以上の結果は、基底流の維持に対する基岩層の寄与を定量的に示すものとして注目される。 3.西おたふく山流域では、土層内に数ケ月にわたって維持され、既往の物理モデルでは再現できない特異な地下水(以下、SPG)が観測された。詳細な観測の結果、SPGは基岩内地下水が土層に復帰することで発生すること、基岩層内の地下水位の変動が土層内地下水(SPG)の発生場所や水位を決定していることが明らかにされた。このような本流域での水移動および地下水形成プロセスは、1.で示された土層や基岩層の物理特性を用いて説明することができた。以上の結果は、基岩層内での水移動メカニズムおよび表層崩壊の発生に対する基岩層の寄与を示唆しており,今度の斜面水文・防災研究の進展に大きく貢献するものである。
|
Research Products
(7 results)