Research Abstract |
ベイジアンネットワーク,マルコフネットワークを始めとするグラフィカルモデリング技術は,脳情報処理機構,故障診断,人間行動,消費者行動モデリング,因果推論,機械学習など,幅広い応用が期待される将来要素技術である.これらのモデル上で効率的に確率推論を行うアルゴリズムに確率伝播法が知られる.しかしながら,確率伝播法は,サイクルを含むグラフに対しては,近似推論を与え,収束する保証がないという問題点がある. 当該年度の研究では,ガウシアングラフィカルモデルに適用した確率伝播法であるガウシアン確率伝播法において,近似推論の近似精度,収束条件,アルゴリズムの補正法を解析的に明らかした研究成果について,国際会議での発表を行い,国際ジャーナル誌での論文発表を行った. また,確率伝播法を改良することで収束を保証させたアルゴリズムにConcave-Convex Procedure(CCCP)アルゴリズムが知られているが,これを一般的に拡張したNew CCCPアルゴリズムの開発を行った.この研究成果について,国内会議,国際会議での発表を行った.当該研究について,IEEE Computational Intelligence Society JapanによるYoung Researcher Awardを受賞した. 開発したNew CCCPアルゴリズムを某に,移動体通信技術であるCDMAに対して,マルチユーザ復調を実現するアルゴリズムを開発した.その結果,従来法のCCCPより安定的で優良な復アルゴリズムを与えることに成功した.この研究成果について,多くの国内発表を行った. 来年度は,このCDMAマルチユーザ復調アルゴリズムの研究成果について,国際会議や論文誌等で発表を行い,誤り訂正符号であるLDPC符号の復号アルゴリズムの可能性についても検討していきたい.
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