2007 Fiscal Year Annual Research Report
半導体二次元電子系における電子スピン共鳴:スピン秩序とダイナミクスの観測
Project/Area Number |
07J05174
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
松並 絢也 The University of Tokyo, 大学院・理学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | Si / SiGeヘテロ構造二次元電子系 / 半導体表面二次元電子系 / 電子スピン共鳴 / 電気伝導 / 量子ホール効果 / スピン緩和 / 磁気的相互作用 |
Research Abstract |
1.Feを吸着させたInAsおよびInSb(110)壁開表面において、吸着Fe原子とそれにより誘起される表面二次元電子系との間に磁気的相互作用があることを立証することを目的として、吸着Fe原子のESR吸収を表面二次元電子系の電気抵抗変化として観測することを試みた。このために、まずミリ波応答測定を行うための試料ホルダーを作製した。この試料ホルダーを用いることにより、極低温(>1.3K)、強磁場(<11T)、超高真空の環境下において、試料壁開(回転)、金属吸着、ミリ波照射および電気伝導測定を行うことが出来る。この試料ホルダーは組み立て作業を外注せず自分達で行ったものであり、改良、補修などが容易である。また、ミリ波照射下ではセラミック部品やマンガニン線が発熱の原因となることを突き止め、専用の試料パッケージ法や試料回転台を開発した。以上の技術的課題を克服した上で、Feを吸着させたInAsおよびInSb(110)壁開表面において、電子密度や電子移動度、磁気抵抗などの基本的な輸送特性を押さえつつ、ミリ波照射による試料の抵抗変化を詳細に調べた。今年度は表面二次元電子系におけるミリ波応答測定の先駆けとして、まずは吸着金属をFeに絞ったが、今後は吸着金属や基板の種類などを系統的に変えて、最適条件を模索していく。 2.シリコンニ次元電子系において、ラシュバスピン軌道相互作用がスピン緩和に占める役割を明らかにするため、ダブルゲートSi/SiGeヘテロ構造試料を作製した。ダブルゲート試料の作製は所属研究室で初の試みであったため、最初に試料パターンの設計、フォトマスクの作製を行い、ゲート酸化膜、半透明ゲート電極膜の形成、加工技術を開発した。低温強磁場下の測定から、このダブルゲートが無事動作することを確認した。
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Research Products
(2 results)