2008 Fiscal Year Annual Research Report
神経軸索ガイダンス因子、セマフォリンの新しい情報伝達機構の研究
Project/Area Number |
07J05201
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
伊藤 由梨 Kyoto University, 生命科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | Sema4D / Plexin-B1 / R-Ras / PTEN / CK2α |
Research Abstract |
Sema4Dは反発作用を示す神経軸索ガイダンス因子であり、その受容体Plexin-B1を介して伸展中の軸索の軌跡を厳密に制御している。本研究の目的は、Sema4Dの示す反発作用のシグナルの全体像を解明し、さらには、そのシグナル伝達の生理的意義を分子レベルから個体レベルにかけて明らかにすることである。近年、Sema4Dは、受容体であるPlexin-B1のもつR-Ras GAP活性を活性化し、R-Rasを不活性化することで反発作用を引き起こしていることが明らかにされた。申請者はこれまでに、R-Rasの不活性化により、PI3-Kの不活性化とPTENの活性化が同時に引き起こされていることを明らかにした。今回、申請者は、Sema4Dの下流でPTENの活性化に関与する分子としてCK2aに着眼し、Sema4Dのシグナル伝達に関与する新たな分子として同定した。 Sema4Dは、PTENを脱リン酸化し、活性化させることがわかっていたが、CK2αは、Sema4DによるPTENの脱リン酸化部位をリン酸化するキナーゼである。Sema4Dで刺激をすると、顕著にCK2αの活性が抑制された。さらに、CK2αを欠失させるとそれだけでPTENの脱リン酸化が引き起こされ、Sema4Dと同様の反発作用が引き起こされた。逆にCK2αを過剰発現させると、Sema4Dによる反発作用が阻害された。このことからCK2αは、Sema4Dのシグナル伝達に関与していることがわかった。さらにR-Rasを不活性化させるとCK2αの活性が抑制された。CK2αの活性制御についてはよくわかっていないが、R-Rasが関与している可能性が示唆される。
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