2007 Fiscal Year Annual Research Report
可逆的な遺伝子ノックダウンシステムを用いた霊長類での認知記憶形成機構の解明
Project/Area Number |
07J05225
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
大橋 陽平 The University of Tokyo, 大学院・医学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | レンチウイルスベクター / 認知記憶 / 霊長類 / 小脳 / プルキンエ細胞 / EGFP / WGA |
Research Abstract |
本研究は、視覚性対連合課題遂行中のサルを被験体として、レンチウイルスベクターを用いて記憶関連分子の可逆的ノックダウンまたはK+channel等の遺伝子導入による神経細胞の不活性化を行うことで、認知記憶形成過程における分子や細胞の役割を個体レベルで明らかにすることを目的としている。本年度は、レンチウイルスベクターを作製できる実験系の確立と、サルへの応用の前段階としてラットを用いた予備実験を行った。レンチウイルスベクターは、三好浩之博士(理化学研究所バイオリソースセンター)が開発したレンチウイルスベクターシステムを用いており、現在までに10^9(TU/ml)オーダーの高力価ウイルスを得ることが可能になっている。次に、EGFP遺伝子を発現するレンチウイルスベクターをラットの小脳第6小葉に接種し、遺伝子導入効率を検討した。接種後7-14日目に、灌流固定し、小脳の薄切切片を作製しEGFPの発現を観察したところ、プルキンエ細胞を主として、顕著なEGFPの蛍光が観察できた。プルキンエ細胞におけるEGFPの蛍光は軸索においても顕著で、特定の領域のプルキンエ細胞の集団から小脳核に至るまでの軸索の走行を可視化することも可能であった。また、EGFP遺伝子の発現が認められた領域は、傍矢状断切片において小脳第6小葉の約1/3-1/2の範囲であった。一方、経シナプス性に神経細胞間を輸送されるWGA遺伝子を発現するレンチウイルスベクターも作製し、上記同様にラット小脳第6小葉に接種を行っている。小脳皮質の特定領域のプルキンエ細胞において発現したWGAは、シナプスを越えて、小脳核の細胞体にまで輸送されていることを確認している。また、レンチウイルスベクターに細胞・脳部位特異的プロモーターを組み込むことにより、特定の細胞集団のみにおいて遺伝子発現を実現することも遂行中である。
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Research Products
(4 results)