2009 Fiscal Year Annual Research Report
可逆的な遺伝子ノックダウンシステムを用いた霊長類での認知記憶形成機構の解明
Project/Area Number |
07J05225
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
大橋 陽平 The University of Tokyo, 大学院・医学系研究科, 特別研究員(DC1)
|
Keywords | レンチウイルスベクター / 認知記憶 / 霊長類 / WGA / Channelrhodopsin-2 / Halorhodopsin / プロモーター |
Research Abstract |
本研究は、視覚性対連合課題遂行中のサルを被験体として、記憶関連分子の可逆的ノックダウンまたはK+channel等の遺伝子導入による神経細胞活動の制御(不活性化・活性化)を行なうことで、認知記憶形成過程における分子・細胞・神経回路の役割を個体レベルで明らかにすることを目的としている。これまでに、霊長類への応用に向けたレンチウイルスベクターの開発及び作製法の検討、ラットを用いた予備実験を行なってきたが、当該年度においては、1.ラットを対象とした神経回路解析法の開発、2.レンチウイルスベクターを用いた霊長類大脳高次機能解明に向けた前段階としての、ラットを対象とした神経細胞活動制御方法の検討、3.レンチウイルスベクターを用いた霊長類大脳皮質への遺伝子導入システムの確立を行なった。以下、個別に記載する。 1.においては、WGA及びGFP遺伝子の共発現が可能なレンチウイルスベクターを開発し、これによりラット小脳出力経路の可視化を可能にした。また、GFP発現により、一次及び二次ニューロンの区別が可能であった。この成果は、第39回北米神経科学学会(2009年10月19日、シカゴ)及び、GCOEプログラム「生体シグナルを基盤とする統合生命学」第3回リトリート(2010年3月5日、東京大学)にて発表された。2.においては、レンチウイルスベクターにより光受容蛋白(ChR-2,NpHR)をラットの大脳及び小脳皮質の神経細胞に発現させ、レーザー照射下にてその神経細胞活動制御(活性化・不活性化)を実現した。3.においては、これまでラットを用いて蓄積してきた技術を霊長類であるマカクザルへと応用し、その大脳皮質への遺伝子導入システムの確立を目指した。現在までに計64回の霊長類大脳皮質への遺伝子導入を行ない、また遺伝子導入用内部プロモーターに関するデータも集まりつつある。この成果は、GCOEプログラム「生体シグナルを基盤とする統合生命学」第3回リトリート(2010年3月5日、東京大学)にて発表された。
|
Research Products
(6 results)