2008 Fiscal Year Annual Research Report
地方共同体から見たヘレニズム・ローマ期のエジプト社会
Project/Area Number |
07J05230
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
高橋 亮介 Nagoya University, 文学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | エジプト / パピノレス / 古代ローマ / プトレマイオス期 / ヘレニズム / 国際研究者交流 / イギリス:エジプト |
Research Abstract |
今年度は、研究計画に従い、ローマ期テプテュニス村の社会経済史研究とプトレマイオス朝期ザウィエト・スルタン採石場遺構のグラフィティ研究を並行して行なった。昨年度から引き続いて7月まで、英国オックスフォード大学古代文書研究センターにて研究に従事し、博士論文の加筆、修正作業・を行ったが、とりわけテプテュニス村に由来するパピルス文書のうち、主に会計文書の分析を行ない、所領経営の諸側面を検討し、商品作物が直営地で栽培される傾向を確認した。年度後半には博士論文の一部を再検討し、2世紀テプテュニス村における土地および物品の貸借活動について史学会大会(11月)にて、また、ある富裕家族の政治的/社会的活動について西洋古代史研究会大会(12月)にて報告を行なった。前者の報告については報告原稿を基に論文を作成中である。 ザウィエト・スルタン採石場遺構のグラフィティに関しては、前年度の調査概報を公にしたほか、前年度までの調査結果について日本西洋史学会大会(5月)にて報告した。8月中旬から9月上旬にかけてエジプトに渡航し現地調査を行い、グラフィティの記録、判読を行なった。さらに今年度の現地調査の成果も踏まえ、これまで明らかになったグラフィティに見られる人名について、ギリシア人とエジプト人名の比率などを検討し、採石活動に関わった人々の具体像についての考察を深め、アコリス遺跡調査に関する公関研究会(3月)にて報告を行なった。 また本研究に関わり、ヘレニズム・ローマ期エジプト理解に広く資すると思われたアラン・ボウマン氏の来日時(2005)の講演「ギリシア・ローマ世界の中のエジプト」を翻訳し、『クリオ』22(2008)に掲載した。
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[Journal Article]2008
Author(s)
高橋亮介
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Journal Title
豊田浩志編『神は細部に宿り給う:上智大学西洋古代史の20年』(第5章「テプテュニスのグラフェイオン」を執筆)(南窓社)
Pages: 89-106
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[Journal Article]2008
Author(s)
TAKAHASHI, Ryosuke
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Journal Title
The Proceedings of Japan-Korea-China Symposium 20〓('Archaeology of Census Returns in Roman Egypt' を執筆)(古代世界研究会)
Pages: 132-141
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