2007 Fiscal Year Annual Research Report
哺乳動物細胞の人為的リプログラミング誘導に関する研究
Project/Area Number |
07J05258
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
宮本 圭 Kyoto University, 農学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | リプログラミング / 無細胞抽出系 / 卵母細胞 / 脱分化 / 細胞膜透過 / アフリカツメガエル / ブタ / 遺伝子発現 |
Research Abstract |
本研究は、卵細胞質から調整した無細胞抽出系を用いて、哺乳動物体細胞のリプログラミング誘導と細胞分化制御系の開発を目的とした。当初アフリカツメガエル(Xenopus)卵抽出系を用いて、ブタ体細胞にリプログラミング誘導を試みた。その結果、ブタ体細胞核が卵型の修飾を受けることがわかり、未分化マーカー遺伝子を発現するよう変化した。これらの反応は、Streptolysin 0という細胞膜に穴をあける試薬を用いて、体細胞核が抽出液中の成分と接しやすい環境を作り上げることによって、初めて観察される。しかしこの試薬は再現性に問題を抱えているため、Digitoninという界面活性剤を用いて、同様の効果が観察されるかを試した。その結果、Digitonin処理によっても可逆的な細胞膜透過が誘導でき、同様のリプログラミング現象の再現に成功した。これは、抽出液中での体細胞へのリプログラミング誘導の系を確立する上で、新たな手法として使用されることが期待される。このようにXenopus卵子無細胞抽出系を、哺乳類体細胞のリプログラミング誘導に応用し、成果をあげてきた。しかし、Xenopusと哺乳類は異種であり、同種の卵子でのみ正常なリプログラミングが誘導されることから考えても、この系では正確にリプログラミングを評価できない可能性がある。そこで、哺乳類卵子を用いて無細胞抽出系の構築を図った。哺乳類卵子由来の無細胞抽出系は、卵子サイズの小ささ等から困難とされてきた。しかし、多くのブタ卵巣から卵子を採取し(GV期卵)、体外培養によってMII期卵まで成熟させた。このGV期、MII期卵からえた抽出液中で体細胞を培養することによって、核移植後に体細胞に起こる現象を再現した。さらに、この細胞を培養に用いたところ、未分化マーカー遺伝子を安定に高発現するようになり、コロニー形成も観察された。以上のように、機能的な卵抽出系の作製に哺乳類で初めて成功した。
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Research Products
(5 results)