2007 Fiscal Year Annual Research Report
高密度電子励起を利用した高分解能生体イメージング質量分析技術の開発
Project/Area Number |
07J05270
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
中田 由彦 Kyoto University, 工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 質量分析 / 二次イオン / 高速重イオン |
Research Abstract |
イメージング質量分析技術は新たな表面分析法として注目されているが、生体細胞内の高分子を壊さずいかに効率良くイオン化するかが重要な課題である。第1年度目は様々な照射条件に対する二次イオン生成量の依存性を明らかにした。感度に大きく影響すると予想される一次イオンのエネルギーを10keV〜6MeVの領域で操作させたときの、分子イオン生成量の増減やフラグメントパターンの変化を調べた結果、分子イオンの生成量はエネルギーに対して増加し、一方フラグメントイオンの相対強度は減少することが分かった。この結果から入射イオンとして6MeVのCuイオンを選択し、イメージング質量分析装置の開発を行った。MeV重イオンを細く絞るためにマイクロメートルの穴径を持つアパーチャをターゲットチャンバ手前に設置し、ビーム径がおよそ5μmφであることを実験的に評価した。照射位置をターゲット表面上でスキャンするために、サンプルをピエゾステージに載せPC制御することで照射位置とマススペクトルの同期を取り二次イオン像を取得するシステムを確立した。本技術・装置の性能を評価するため、マイクロパターン化した生体高分子試料のイメージング測定を行った結果、脱プロトン化ペプチドイオン(m/z 1153)の高分解能イメージング測定に成功した。さらに細胞試料作製技術の開発も行った。Si基板上に細胞を培養し乾燥させたサンプルを質量分析し、細胞膜を構成しているリン脂質由来と思われる分子イオン(m/z〜800)の検出に成功し、上記のような純粋試料だけでなく、複雑な生体試料でも高分子量イメージングが原理的に可能であることを実証した。また培養した細胞を急速冷凍・割断し、凍結乾燥を行う装置の作製にも着手した。
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Research Products
(8 results)