2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07J05285
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
中山 真里子 Waseda University, 文学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | バイリンガル / 視覚的単語認識 / マスク下のプライミング / Cognates / Noncognates / 語彙判断課題 |
Research Abstract |
研究の目的:翻訳プライミング効果とはL1の対訳語(例:芸術)を提示することによりL2のターゲット認識(例:ART)が促進される現象である.この効果は,L1の語彙情報がL2の語彙情報を活性化させる為だと考えられているが,その詳細(音韻,意味,形態など,どんな語彙情報を通しL2単語が活性かされるか)は未だはっきりと解明されていない.また,日英バイリンガルを対象とした先行研究は存在せず,日本語-英語の対訳語においても効果が観察されるかどうか検証が必要であった.本研究では日英バイリンガルを被験者とし,先行研究の再現を試みると共に,先行研究で検討されていないターゲットの出現頻度とL2の熟練度を操作し,こうした変数がどのような影響を与えるかを検討した.研究の方法:マスク下のプライミング手法を使用し,計130名の日英バイリンガルを対象に語彙判断課題を行った.バイリンガルの熟練度はNelson-Denny単語テストの成績及びTOETCのスコアを基に判断した.研究の成果:1)日英バイリンガルにおいても翻訳プライミング効果が観察されることを確認した.2)この効果はレモン-LEMONのような音韻・意味情報を共有する対訳語(Cognates)及び,筋肉-MUSCLEのような意味情報のみを共有する対訳語(Noncognates)に観察され,外国語による先行研究の結果と整合的であった.3)熟練度の低いバイリンガルは熟練度の高いバイリンガルに比べ有意にプライミング効果が大きかった.4)Cognatesのプライミング効果はNoncognatesより有意に大きかったが,これはターゲット出現頻度が低い場合のみに限って観察された.次年度では,こうした結果を踏まえてバイリンガルの語彙処理のモデルによりどのように説明されるのかについて考察するとともに新たな実験を通して研究を推准していきかいと思っている.
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