2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07J05285
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
中山 真里子 Waseda University, 文学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | バイリンガル / 視覚的単語認識 / マスク下のプライミング / コグネート / ノンコグネート / 語彙判断 / メンタルレキシコン / 音韻 |
Research Abstract |
本研究では,日英対訳語がバイリンガルの脳内でどのように処理されているかマスク下のプライミング手法により検証している. 研究(1)コグネートとノンコグネートのプライミングによる促進効果を比較した外国の先行研究では,コグネートの方が有意に大きい効果を観察しているものと,コグネート,ノンコグネートに同程度の効果を観察しているものがあり,整合性が取れていなかった.今年度は,前年度行ったプライミング効果の大きさにおける,英単語の出現頻度とバイリンガルの熟練度の影響を調べた実験の検定力を高める為,新たに被験者を追加し結果を分析し直したところ,コグネートの優位性は英単語の頻度とバイリンガルの熟練度に影響を受けることがわかった.これにより,過去研究における不整合性は,実験間で使用された英単語の頻度の差によるものであることが強く示唆された. 研究(2)今年度はL1-L2単語間の音韻の共有性が視覚的単語認識にどのような影響を与えるかについて重点的に研究を行った.その結果,英単語の認識は,音韻的に類似しているが意味の共有のない日本語をプライムとして提示した際にも促進されることがわかった(e.g.,"メダル"が"PEDAL"の認識を促進する).このことから,L1-L2単語の処理過程に音韻情報が重要な役割を占めることが示された.しかしながらL1とL2が対訳語の場合(e.g,メダル-MEDAL),プライミングにおける促進効果の大きさは音韻の類似性が高い単語(e.g.,メダル-MEDAL)でも低い単語(e.g.,ウィルス-VIRUS)でも統計的に有意な差を観察しなかったことから,先行研究で示されている通り,対訳語の単語認識は主にその共有する意味を介して行われるということが示唆された現在のバイリンガルの視覚的単語認識の研究では、単語の音韻の共有性に注目した先行研究がほとんど無い為,これらの実験で得られた知識は非常に重要である.これらの研究の成果を発表する為,投稿論文を執筆中である.
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