2007 Fiscal Year Annual Research Report
中世北東アジアにおける生産・物流システムの比較考古学的研究
Project/Area Number |
07J05290
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Research Institution | Chuo University |
Principal Investigator |
中澤 寛将 Chuo University, 大学院・文学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 中世 / 考古学 / 比較史 / 生産・物流システム論 / ロシア:中国:北朝鮮:韓国:日本 |
Research Abstract |
本研究の目的は、考古学的手法を中心として、中世北東アジアの生産・物流システムの展開過程とその実態について解明することである。特に、渤海・女真(金)・東夏と日本列島北部の手工業生産・物資流通の構造について比較研究を行ない、中原地域・朝鮮半島(高句麗や高麗)・琉球等の状況も考慮しながら、中世北東アジアの生産・物流システムとその歴史的特質について解明する。本年度は海外調査と国内調査からなる。 海外調査では、渤海から女真・東夏期における陶質土器生産の技術系譜関係を解明することを目的として、ロシア沿海地方において中世城郭(シャイガ城址、ニコラエフカ城址、ノヴォネジナエ城址、クラスノヤロフスコエ城址)の踏査および出土遺物の調査を行い、考古資料の実測・計測による資料化を図った。本年度調査によって城址間で遺物組成や技術的特徴が相違することが判明した。来年度以降も継続して遺物の資料化を図り、城郭・生産関連施設・集落・墓地などの相互関係や各遺跡の消長を明らかにする。また成果については、中世北東アジアにおける窯業生産・流通システムの変遷と構造に関して『考古学研究』に発表し、今年度調査成果は『第9回北アジア調査研究報告会』で口頭報告した。 国内調査では、日本列島北部における窯業生産の拡散過程および流通構造を解明することを目的として、秋田県埋蔵文化財調査センター、男鹿市教育委員会、岩手県埋蔵文化財調査センター、余市町教育委員会等において窯業生産関連遺跡および集落遺跡出土資料の検討を行った。成果の一部については、『シンポジウム中世総合資料学の実践-間宮海峡から琉球弧へ-』で口頭報告した。また並行して北海道・東北地方北部で日本列島対岸地域から搬入されたと言われる大陸系遺物を実見調査したほか、徳島県立鳥居記念博物館において鳥居龍蔵博士が戦前に満蒙地域で行った遼・金代遺跡出土資料の実見調査も行った。
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Research Products
(6 results)