2007 Fiscal Year Annual Research Report
バイオテレメトリー手法によるサケ科魚類の行動生理学的研究
Project/Area Number |
07J05295
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
牧口 祐也 Hokkaido University, 大学院・環境科学院, 特別研究員(DC1)
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Keywords | バイオテレメトリー / EMG発信機 / サケ科魚類 / 心拍ロガー |
Research Abstract |
本年度は生理学的アプローチを導入したバイオテレメトリー手法を用いて以下の実験を行った。 I)かつての蛇行が復元された標津川を遡上するカラフトマス(Oncorhynchus gorbuscha)の遊泳エネルギーコストをelectromyogram (EMG)発信機より推定するモデルの作成を試みた。モデルの作成には密閉型の流速が調節可能な遊泳水槽を用いて実験を行い、標津川に遡上したカラフトマスから得られたEMG情報よりエネルギーコストを推定した。結果、蛇行復元区間と直線(コントロール)区間を遡上したカラフトマスのエネルギーコストに違いはみられなかった。しかし蛇行復元区間においてカラフトマスは長時間定位する傾向がみられた。つまり蛇行復元区間は遡上中のカラフトマスの定位場所として機能していることが示唆された。 II)超小型の電波発信機(ナノタグ)を用いて世界のサケ科魚類の生息地の南限である、台湾の七家湾渓に生息するサラマオマスの台風増水期における河川内行動を調査・解析した。本種は台湾の天然記念物に指定されているが、約5kmのみの区間にしか本種が生息しておらずそれらの保護が急務となっている。調査を行った2007年8月8日から9月1日にかけて調査を行い、期間中に台風8号が台湾を直撃し約3mの河川増水が引き起こされた。しかし実験魚の位置は増水前後で大きく変化せず、本調査での規模の増水では下流側に大きく流されないことが明らかとなった。 III)心電図がロギング可能な心拍ロガーを用いて産卵行動時におけるシロザケの心電図の取得に成功した。シロザケ親魚は雌雄ともに産卵の瞬間に5-7秒程度心拍が停止することが確認された。また、心拍数は産卵が始まると上昇し、産卵が終わるまで心拍数が高いまま維持されていた。
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Research Products
(11 results)