2009 Fiscal Year Annual Research Report
バイオテレメトリー手法によるサケ科魚類の行動生理学的研究
Project/Area Number |
07J05295
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
牧口 祐也 Hokkaido University, 大学院・環境科学院, 特別研究員(DC1)
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Keywords | バイオテレメトリー / 心電図ロガー / サケ科魚類 |
Research Abstract |
魚類の心拍変動は、代謝を最適化するために外部刺激や内的変化に対応し自律神経系により高度に制御されている。数種の動物において振動や視覚刺激により、一時的に徐脈が引き起こされ心停止が起こることが報告されている。Makiguchiら(2009)によってシロザケ(Oncorhynchus keta)が産卵の瞬間、雌で7秒、雄で5秒間心停止し、これに副交感神経が関与していることが報告された。しかし、産卵の瞬間に心停止が起こる機構に関してはほとんど明らかとなっていない。本研究ではECG(Electrocardiogram)およびDT(Depth Temperature)ロガーを用いた行動観察および自律神経系アンタゴニストを用いた薬理学的実験により、シロザケの産卵の瞬間における心停止機構を明らかにする目的で実験を行った。標津川河口で捕獲されたシロザケ雌10尾の背部にECGロガー(W400-ECG:リトルレオナルド社)、腹腔内の圧力変化を調べるためにDTロガー(M190-DT:リトルレオナルド社)を挿入し、交感神経および副交感神経の薬理的遮断効果のあるソタロール(2.7mg/kg:N=3)およびアトロピン(1.2mg/kg:N=2)、さらにコントロールとしてサーモンリンガー(N=5)を投与し、産卵行動をビデオカメラで記録し観察した。産卵行動観察終了後に、産卵床を掘り起こし、放卵された卵の数を計数した。アトロピンを投与した個体以外のすべての個体で産卵の瞬間に心停止が観察され、この結果は従来の報告と同様であった。産卵の瞬間に腹腔内の圧力は産卵前後に比べて上昇していたが、投与した薬によって腹腔内の圧力は変化しなかった。また、放卵数も投与した薬によって変化しなかった。つまり、心停止は産卵の瞬間における放卵に伴った圧力変化とは関係がない可能性が示された。
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Research Products
(7 results)