2009 Fiscal Year Annual Research Report
Gタンパク質共役型受容体によるリゾファスファチジン酸分子種識別機構の解明
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07J05298
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
柳田 圭介 The University of Tokyo, 大学院・医学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | リゾホスファチジン酸 / Gタンパク質共役型受容体 / オーファン受容体 / p2y5 / LPA6 / Edg型LPA受容体 / 非Edg型LPA受容体 |
Research Abstract |
本研究は、既知のLPA受容体では説明できないLPAの多種多様な作用、さらには細胞によってLPA分子種認識に違いが生じるメカニズムを明らかにすることを目的とし、これまでの研究で新規LRA受容体p2y5/LPA6の同定に成功した。当該年度の研究実施計画は、1)欠損マウスを用いた非Edg型LPA受容体の生理機能解析、また2)貧毛症につながるp2y5/LPA6のアミノ酸変異体の解析であった。 1.当教室で樹立されたLPA4欠損マウスを用いて、高脂肪食負荷実験を行なった。欠損マウスは野生型マウスと比べ、脂肪肝の抑制、アディポネクチン高値、脂肪細胞の小型化、脂肪組織慢性炎症の軽減、インスリン抵抗性の改善が認められた。LPA4は前駆脂肪細胞に強く発現しており、マウス胎児繊維芽細胞を用いた脂肪細胞分化実験において、欠損マウスの細胞で脂肪細胞分化の亢進が認められた。これらの結果は、欠損マウスは脂肪細胞分化の亢進により、上記表現型をもたらすことを示唆するもので、LPA4はメタボリックシンドロームの新しい治療標的として強く期待できると考える。 2.ヒト貧毛症につながるいくつかのアミノ酸変異が報告されている。今回これらの変異体p2y5/LPA6の発現ベクターを作製し、その機能解析を行なった。1つの変異体では野生型受容体と同様にLPAによる細胞内応答が認められたが、その他の8つの変異体では細胞内応答は認められず、うち4つの変異体は細胞膜へ輸送されずにプロテアソーム系で分解されていることがわかった。そのうち1つの変異体において、p2y5/LPA6に対する合成アゴニストが薬理的シャペロンとしてはたらき、その細胞膜発現を回復することを見いだした。この結果は、p2y5/LPA6の合成アゴニストが特定のヒト貧毛症患者において、治療薬として使える可能性を強く示唆するものである。
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