2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07J05301
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
北島 雄一郎 Kyoto University, 文学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 共通原因 / ライヘンバッハ / 科学的実在主義 / 準実在主義 |
Research Abstract |
科学的実在主義が現代物理学において妥当であるかどうかを検討することが本研究の目的である。この問題を考えるために今年度は科学的実在主義に関連した二つの題材、準実在主義とライヘンバッハの共通原因を取り上げた。 準実在主義とは、従来の科学的実在主義を弱めた立場である。この立場によれば、われわれの認識とは独立に存在する実体は、検出性質と補助性質という二つの性質をもつ。検出性質は検出に関わる傾向性的な性質で、補助性質は検出に関わらない性質である。準実在主義によれば、科学理論を通して認識できる性質は検出性質のみである。本研究では、準実在主義の立場から代数的場の量子論を解釈することを試み、代数的場の量子論においてどの性質が検出性質とみなせるのかを明らかにした。 準実在主義では、実在に関わる性質として検出性質という因果的な性質を考える。つまり実在について考えるためには、因果についての考察が欠かせない。そこで本研究では、代数的場の量子論において二つの事象が互いに影響を及ぼさないということはどのように定式化できるのかという問題と、空間的に離れた二つの事象が互いに影響を及ぼさないということはライヘンバッハによって提唱された共通原因の定義とどのような関係にあるのという問題を考察した。そして、二つの事象が互いに影響を及ぼさないという概念と、確率的に相関した二つの事象に対してライヘンバッハの共通原因が存在するということは、密接に関係しているということを明らかにした。
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Research Products
(4 results)