2008 Fiscal Year Annual Research Report
可視光感受性および紫外光感受性ロドプシン類における高効率光情報変換メカニズム
Project/Area Number |
07J05303
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
筒井 圭 Kyoto University, 大学院・理学研究科, 特別研究員(DC1)
|
Keywords | 視覚 / ロドプシン類 / レチナール / 光異性化 / 量子収率 |
Research Abstract |
ロドプシン類が光受容体として機能するためには、レチナール発色団の光異性化反応が高効率で起こることが重要である。ロドプシン類の発色団にはシッフ塩基と呼ばれる部分がプロトン化したもの(可視光感受性)と脱プロトン化したもの(紫外光感受性)の二種類が存在するが、私はロドプシン類の蛋白質部分がそれら二種類の発色団の光異性化効率(量子収率)を制御する機構を研究している。前年度までの研究により、可視光感受性および紫外光感受性のロドプシン類において113番目のグルタミン酸残基(E113)が発色団の光異性化を促進していることが明らかとなった。また、113位に対する網羅的な変異体解析により、113番目の位置に負電荷を持ったアミノ酸が存在することが重要であることが示唆された。そこで本年度は、負電荷が光異性化を促進する可能性を検証することを目的として、以下の研究を行った。 可視光感受性のロドプシン類(ウシロドプシン)のE113Q変異体においては、水溶液中のハロゲン化物イオンがE113の機能を代替することが分かっている。そこでE113Q変異体においてハロゲン化物イオンの種類をCl-(塩化物イオン)、Br-(臭化物イオン)、I-(ヨウ化物イオン)と置換した一連の資料を用いて量子収率を測定した。その結果、吸収極大波長(負電荷とシッフ塩基の相互作用の強さを反映する)と量子収率の間に相関が認められ、負電荷が確かに光異性化を促進していることが示された。また、シッフ塩基近傍の113番目以外の位置に負電荷を持ったアミノ酸残基が導入された一連の変異体(G90D、T94D、A117E、A292E等、およびそれらとE113Q・E113Aとの二重変異体)を作製し、量子収率を測定した。その結果、113番目以外の位置に導入された負電荷をもつアミノ酸残基もE113と同程度に光異性化を促進できることが明らかとなった。
|
Research Products
(3 results)