2008 Fiscal Year Annual Research Report
ネットワーク産業の競争政策に関する理論的・実証的分析手法の開発
Project/Area Number |
07J05321
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
黒田 敏史 Kyoto University, 経済学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 内生的ネットワーク効果 / 多面的市場 / 携帯電話プラットフォーム / 産業組織論 / 構造推定 / ナンバーポータビリティ |
Research Abstract |
ネットワーク産業では、プラットフォーム事業者と呼ばれるサービスを提供するために必要となる個々の要素を結合するための技術標準や取引の場を提供する事業者が存在する。携帯電話によるインターネット利用プラットフォームでは、通信サービスを提供する携帯電話事業者がプラットフォーム事業者として、通信サービス、顧客の認証・課金、技術標準の制定等を垂直統合で提供している。携帯電話利用者とコンテンツ事業者との間の間接ネットワーク効果の強さをプラットフォーム事業者が決済代行手数料を通じて規定する事ができる状況をモデル化し、同モデルに基づき携帯電話利用者の加入需要、並びにコンテンツ事業者の市場への参入行動の同時決定モデルをパネルデータを用いて推定した。推定の結果、携帯電話利用者とコンテンツとの間にはネットワーク効果が優位に働いており、ネットワーク効果がモバイルナンバーポータビリティの導入以降に大きくなっていることが明らかになった。しかし、決済代行手数料についての情報が非公表である事などのデータの制約から、この変化が手数料の変化によるものなのか、それとも技術的変化によるものなのか等について識別することはできなかった。しかし、携帯電話事業者が利潤最大化のために内生的にネットワーク効果をコントロールしている可能性が示唆された事の意義は大きい。今後の課題はプラットフォーム事業者がネットワーク効果をどの様にコントロールするのか、それが政府の規制の必要性を高めるかについての理論的、実証的研究であろう。
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Research Products
(6 results)