2007 Fiscal Year Annual Research Report
形状記憶合金の相変態を利用した反射率分布可変ミラー
Project/Area Number |
07J05330
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
古谷 俊輔 Tokyo Institute of Technology, 大学院・理工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 形状記憶合金 / 鏡面 / 反射率 / 研磨 / 砥粒 / 表面粗さ / 微細構造 / 形状復帰 |
Research Abstract |
SMAはその名前から,全体がマクロに変形するイメージが強いが,この変形は結晶構造の変化に起因しているため,変形時に表面の微細構造もミクロに変化する.鏡面仕上げをしたSMA表面ではこの効果により,加熱することで表面粗さが増加し,光学反射率の低下を得ることができる.そこで,より大きな表面粗さの増加と反射率の低下を得るため,異なる方法で鏡面仕上げを行ったSMAで得られる表面粗さおよび反射率変化量の比較を行った,ここでは,鏡面仕上げの手法は砥粒研磨に固定し,研磨を行う際のSMAの状態を変えて比較した.最初にSMAが形状を記憶している状態で研磨を行ったものと研磨を行ってからSMAに形状を記憶させたものでの比較を行った.次に研磨時のSMAの温度を形状復帰温度よりも低温(25℃),形状復帰効果温度よりも高温(90℃),およびこれらの遷移状態にある温度(75℃)として比較を行った.その結果,研磨時のSMAの状態を変えることで,加熱により得られる表面粗さおよび反射率の変化も変わることが分かった.なお,今回比較を行った中では,あらかじめ形状記憶を行った上で,形状復帰温度よりも低温で研磨を行った試料において,表面粗さ増加および反射率低下がともに最大となり,その変化量は表面粗さ(Ra)の増加率67%,反射率低下量3.6%であった.これらの結果から,最適な鏡面加工法を見出すことによってSMAの反射率変化を利用した反射率分布ミラーが実現可能であると考えられる.
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