2007 Fiscal Year Annual Research Report
超新星爆発とガンマ線バーストの発生機構の解明と超高赤方偏移宇宙の距離指標の確立
Project/Area Number |
07J05346
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
田中 雅臣 The University of Tokyo, 大学院・理学系研究科, 特別研究員(CD1)
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Keywords | 天文学 / 宇宙物理学 / 超新星爆発 / ガンマ線バースト |
Research Abstract |
今年度は研究計画の通り、超新星爆発の多次元輻射輸送コードの開発が終了し、世界で初めてジェット状に爆発する超新星爆発がどのように可視光を放射するかのシミュレーションに成功した。この研究により、超新星でできた元素の非球対称な分布がどのように観測量に影響するかが初めて定量的に明らかになった。この研究は、可視光の超新星観測と現実的な多次元理論モデルを結びっけるためにこれまで抜けおちていた重要な箇所であり、シミュレーション結果と今後の可視光観測の比較から、理論モデルに制限がつけられると考えられる。 また、観測的アプローチとして、すばる望遠鏡を用いて、超新星が爆発してから一年以上経過した分光データをこれまでにない数取得した。この結果の解析から、重力崩壊型超新星が一般的に球対称ではないことを明らかにした。 Ia型超新星に関する研究は、今年度はその多様性が最も顕著に現れる、超新星が最も明るくなる前の分光データを詳細に解析した。結果として、Ia型超新星の最も外側に存在するケイ素の量にイベントごとの多様性があることが明らかになった。また、爆発のメカニズムを理解するために、Ia型超新星を起こす白色綾星のもとの化学組成である、炭素の量を定量化したが、観測されるIa型超新星にはほとんど炭素が存在しないことが分かった。これは、Ia型超新星爆発が白色綾星をほとんど燃やし尽している証拠であり、爆発メカニズムに新たな制限を与えることができた。また、Ia型超新星の新たな多様性として、特異な超新星SN 2005hkを詳細に観測し、爆発時のエネルギーにも多様性が見られることを明らかにした。
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Research Products
(14 results)