2008 Fiscal Year Annual Research Report
超新星爆発とガンマ線バーストの発生機構の解明と超高赤方偏移宇宙の距離指標の確立
Project/Area Number |
07J05346
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
田中 雅臣 The University of Tokyo, 大学院・理学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 天文学 / 宇宙物理学 / 超新星爆発 / 元素合成 |
Research Abstract |
20年度は研究計画の通り、すばる望遠鏡を用いて重力崩壊型超新星の偏光分光観測を行った。その結果、重力崩壊型超新星SN2007grで、爆発時に合成された元素の分布と、親星の元素分布が異なることが明らかになった。これは爆発が球対称ではないことを直接的に示す重要な結果である。超新星SN2005bfでは、ESO-VLTで取得されたデータと合わせて時間発展を調べ、この超新星が非常に非球対称性の大きい爆発であることが明らかになった。偏光の時間発展が研究された例は非常に少なく、貴重なサンプルとなった。 また、2008年1月にSwift衛星により偶然発見された超新星SN2008Dに関して、爆発から100日までの観測量を再現するモデルを構築することに成功した。すばる望遠鏡により爆発後1年にわたる追観測も行っており、モデルの妥当性を自ら検証している。さらに、1年後の分光データから、爆発が球対称ではなく、ジェット状の爆発が横方向から観測されていることが示唆された。これは、Swift衛星で発見されたX線アウトバーストが相対論的ジェットによるものではないことを間接的に示している。 Ia型超新星に関する研究は、銀河系内の天体にも注目し、Tychoの超新星残骸からのエコー観測の解析を行った。これまで行ってきた銀河系外のIa型超新星の観測から多数の分光テンプレートを作り比較したところ、Tychoの超新星が極めて標準的なIa型超新星であることが明らかになった。今後、さまざまな方向からのエコーを観測することで、超新星爆発の三次元的構造を調べる研究に発展させることが期待される。
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Research Products
(24 results)