2009 Fiscal Year Annual Research Report
超新星爆発とガンマ線バーストの発生機構の解明と超高赤方偏移宇宙の距離指標の確立
Project/Area Number |
07J05346
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
田中 雅臣 The University of Tokyo, 数物連携宇宙研究機構, 特別研究員(PD)
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Keywords | 天文学 / 宇宙物理学 / 超新星爆発 / 元素合成 |
Research Abstract |
21年度は、昨年度から行っている重力崩壊型超新星の偏光観測を通して爆発のメカニズムに迫る研究をさらに発展させた。昨年度までに行った観測の結果、超新星の可視光スペクトル中のCa IIやFe IIのラインにおいて大きな偏光度が検出されていた。しかし、最新の観測では、これまでにない高い質のデータを取得することで、Ca IIやO I、He Iラインの波長で偏光の向きが一定でないことが発見された。これは、元素分布が決まった対称軸を持っておらず、大質量星が軸対称よりも複雑な3次元構造をもって爆発していることを意味している。通常、星は球対称(一次元)か、星の回転を考慮しても軸対称(二次元)に重力崩壊を起こすと考えられる。この観測の結果は、超新星爆発のメカニズムに三次元的な不安定性等が大きく関与していることを示唆しており、今後の大質量星崩壊の研究に新たな道筋を与えるものである。 Ia型超新星に関しても、すばる望遠鏡を用いて偏光分光観測を行った。Ia型超新星の中には極めて明るいものも存在し、チャンドラセカール限界質量を超えているものがあるのではないかと指摘されていた。しかし、その正体については決着がついておらず、爆発が非常に球対称からずれているために明るく見えているだけである、というシナリオも提唱されていた。今年度、このような極めて明るいIa型超新星の偏光分光観測に世界で初めて成功した。その結果、偏光度が他のIa型超新星と同程度に小さく、爆発は大きく歪んでいないことが判明した。この観測により、このような非常に明るいIa型超新星が、無回転時のチャンドラセカール限界質量を超えていることが確定的となった。
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Research Products
(14 results)