2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07J05380
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
美多 剛 Keio University, 理工学部, 特別研究員(SPD)
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Keywords | 不斉触媒 / サレン / チオウレア / 多点制御 / 金属錯体 |
Research Abstract |
平成19年度は、アメリカハーバード大学のEric N. Jacobsen研究室に研究の拠点を移した。Jacobsen教授は触媒的不斉合成反応の開発研究の分野では世界的な第一人者であり、これまでにも極めて効果的かつ実用化にも耐えうる触媒系の開発に次々と成功している。特に最近は多点制御の概念を取り入れて、求核剤と求電子剤を同時に活性化する数多くの触媒の合成に成功している。報告者は本年度、多点制御の概念に基づき,チオウレアないしはウレア部位とサレン部位をリンカーで結合させた金属触媒をあらたに設計し,その合成に取組んだ。その結果、様々なリンカーを用いてこれら2つの部位を結合させた金属錯体の合成に成功した。NMRによる直接的な構造解析は困難であったものの、ESI-MSによる質量分析からは目的の錯体が合成されたことが確認された。そこで予備的な検討として、得られた新規錯体を触媒として、これまで困難とされてきたラジカル反応の触媒的な制御や、オレフィン類の位置選択的な不斉エポキシ化反応などを試みた。これまでのところ,これらの反応では満足する結果は得られていない。さらに、チオウレア部位と適切なブレンステッド酸からキラルな酸を調製し、これによって活性化された基質に対し、リンカーで結合した金属求核剤が分子内で付加することにより,高い反応性および高い選択性が実現されることを期待して,新たな触媒系の設計を開始した。
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